バージョン 2.3 で追加.
このモジュールは、アプリケーションやライブラリのための柔軟なエラーログ記録 (logging) システムを実装するための関数やクラスを定義しています。
標準ライブラリモジュールとしてログ記録 API が提供される利点は、すべての Python モジュールがログ記録に参加できることであり、これによってあなたが書くアプリケーションのログにサードパーティーのモジュールが出力するメッセージを含ませることができます。
このモジュールは、多くの機能性と柔軟性を提供します。ロギングに慣れていないなら、つかむのに一番いいのはチュートリアルを読むことです (右のリンクを参照してください)。
モジュールで定義されている基本的なクラスと関数を、以下に列挙します。
ロガーには以下のような属性とメソッドがあります。ロガーを直接インスタンス化することはできず、常にモジュール関数 logging.getLogger(name) を介してインスタンス化することに注意してください。
この評価が true であれば、ロギングメッセージはこのロガーによって、またこの子ロガーによって、上位の (親) ロガーのハンドラに渡されます。メッセージは、親ロガーのハンドラに直接渡されます - 問題の親ロガーのレベルもフィルタも考慮されません。
この値の評価結果が false になる場合、ロギングメッセージは上位の (親の) ロガーのハンドラに渡されません。
コンストラクタはこの属性を 1 に設定します。
このロガーの閾値を lvl に設定します。ログ記録しようとするメッセージで、 lvl よりも深刻でないものは無視されます。ロガーが生成された際、レベルは NOTSET (これによりすべてのメッセージについて、ロガーがルートロガーであれば処理される、そうでなくてロガーが非ルートロガーの場合には親ロガーに委譲させる) に設定されます。ルートロガーは WARNING レベルで生成されることに注意してください。
「親ロガーに委譲」という用語の意味は、もしロガーのレベルが NOTEST ならば、祖先ロガーの系列の中を NOTEST 以外のレベルの祖先を見つけるかルートに到達するまで辿っていく、ということです。
もし NOTEST 以外のレベルの祖先が見つかったなら、その祖先のレベルが探索を開始したロガーの実効レベルとして扱われ、ログイベントがどのように処理されるかを決めるのに使われます。
ルートに到達した場合、ルートのレベルが NOTEST ならばすべてのメッセージは処理されます。そうでなければルートのレベルが実効レベルとして使われます。
深刻度が lvl のメッセージが、このロガーで処理されることになっているかどうかを示します。このメソッドはまず、 logging.disable(lvl) で設定されるモジュールレベルの深刻度レベルを調べ、次にロガーの実効レベルを getEffectiveLevel() で調べます。
このロガーの実効レベルを示します。 NOTSET 以外の値が setLevel() で設定されていた場合、その値が返されます。そうでない場合、 NOTSET 以外の値が見つかるまでロガーの階層をルートロガーの方向に追跡します。見つかった場合、その値が返されます。
このロガーの子であるロガーを、接頭辞によって決定し、返します。従って、 logging.getLogger('abc').getChild('def.ghi') は、 logging.getLogger('abc.def.ghi') によって返されるのと同じロガーを返すことになります。コレは簡便なメソッドで、親ロガーがリテラルでなく __name__ などを使って名付けられているときに便利です。
バージョン 2.7 で追加.
レベル DEBUG のメッセージをこのロガーで記録します。 msg はメッセージの書式化文字列で、 args は msg に文字列書式化演算子を使って取り込むための引数です。 (これは、書式化文字列の中でキーワードを使い、引数として単一の辞書を渡すことができる、ということを意味します。)
キーワード引数 kwargs からは 2 つのキーワードが調べられます。一つ目は exc_info で、この値の評価値が false でない場合、例外情報をログメッセージに追加します。 (sys.exc_info() の返す形式の) 例外情報を表すタプルが与えられていれば、それをメッセージに使います。それ以外の場合には、 sys.exc_info() を呼び出して例外情報を取得します。
もう一つのキーワード引数は extra で、当該ログイベント用に作られる LogRecoed の __dict__ にユーザー定義属性を加えるのに使われる辞書を渡すために用いられます。これらの属性は好きなように使えます。たとえば、ログメッセージの一部にすることもできます。以下の例を見てください:
FORMAT = '%(asctime)-15s %(clientip)s %(user)-8s %(message)s'
logging.basicConfig(format=FORMAT)
d = { 'clientip' : '192.168.0.1', 'user' : 'fbloggs' }
logger = logging.getLogger('tcpserver')
logger.warning('Protocol problem: %s', 'connection reset', extra=d)
出力はこのようになります:
2006-02-08 22:20:02,165 192.168.0.1 fbloggs Protocol problem: connection reset
extra で渡される辞書のキーはロギングシステムで使われているものと衝突しないようにしなければなりません。 (どのキーがロギングシステムで使われているかについての詳細は Formatter のドキュメントを参照してください。)
これらの属性をログメッセージに使うことにしたなら、少し注意が必要です。上の例では、 ‘clientip’ と ‘user’ が LogRecord の属性辞書に含まれていることを期待した書式化文字列で Formatter がセットアップされています。もしこれらが欠けていると、書式化例外が発生してしまうためメッセージはログに残りません。したがってこの場合、常にこれらのキーを含む extra 辞書を渡す必要があります。
このようなことは煩わしいかもしれませんが、この機能は限定された場面で使われるように意図しているものなのです。たとえば同じコードがいくつものコンテキストで実行されるマルチスレッドのサーバで、興味のある条件が現れるのがそのコンテキストに依存している (上の例で言えば、リモートのクライアント IP アドレスや認証されたユーザ名など)、というような場合です。そういった場面では、それ用の Formatter が特定の Handler と共に使われるというのはよくあることです。
整数で表したレベル lvl のメッセージをこのロガーで記録します。その他の引数は debug() と同じように解釈されます。
レベル ERROR のメッセージをこのロガーで記録します。引数は debug() と同じように解釈されます。例外情報がログメッセージに追加されます。このメソッドは例外ハンドラからのみ呼び出されるべきです。
指定されたフィルタ filt をこのロガーに追加します。
指定されたフィルタ filt をこのロガーから取り除きます。
このロガーのフィルタをレコード (record) に適用し、レコードがフィルタを透過して処理されることになる場合には true を返します。
指定されたハンドラ hdlr をこのロガーに追加します。
指定されたハンドラ hdlr をこのロガーから取り除きます。
呼び出し元のソースファイル名と行番号を調べます。ファイル名と行番号と関数名を 3 要素のタプルで返します。
バージョン 2.4 で変更: 関数名も加えられました。 以前のバージョンではファイル名と行番号を 2 要素のタプルで返していました。
ハンドラ (Handler) は以下の属性とメソッドを持ちます。 Handler は直接インスタンス化されることはありません; このクラスはより便利なサブクラスの基底クラスとして働きます。しかしながら、サブクラスにおける __init__() メソッドでは、 Handler.__init__() を呼び出す必要があります。
レベルを設定して、 Handler インスタンスを初期化します。空のリストを使ってフィルタを設定し、 I/O 機構へのアクセスを直列化するために (createLock() を使って) ロックを生成します。
スレッドセーフでない背後の I/O 機能に対するアクセスを直列化するために用いられるスレッドロック (thread lock) を初期化します。
createLock() で生成されたスレッドロックを獲得します。
このハンドラに対する閾値を lvl に設定します。ログ記録しようとするメッセージで、 lvl よりも深刻でないものは無視されます。ハンドラが生成された際、レベルは NOTSET (すべてのメッセージが処理される) に設定されます。
このハンドラのフォーマッタを form に設定します。
指定されたフィルタ filt をこのハンドラに追加します。
指定されたフィルタ filt をこのハンドラから除去します。
このハンドラのフィルタをレコードに適用し、レコードがフィルタを透過して処理されることになる場合には true 値を返します。
すべてのログ出力がフラッシュされるようにします。このクラスのバージョンではなにも行わず、サブクラスで実装するためのものです。
ハンドラで使われているすべてのリソースの後始末を行います。このバージョンでは何も出力せず、 shutdown() が呼ばれたときに閉じられたハンドラを内部リストから削除します。サブクラスではオーバライドされた close() メソッドからこのメソッドが必ず呼ばれるようにしてください。
ハンドラに追加されたフィルタの条件に応じて、指定されたログレコードを出力します。このメソッドは I/O スレッドロックの獲得/解放を伴う実際のログ出力をラップします。
このメソッドは emit() の呼び出し中に例外に遭遇した際にハンドラから呼び出されます。デフォルトではこのメソッドは何も行いません。すなわち、例外は暗黙のまま無視されます。ほとんどの場合、これがロギングシステムの望ましい動作です - というのは、ほとんどのユーザはロギングシステム自体のエラーは気にせず、むしろアプリケーションのエラーに興味があるからです。しかしながら、望むならこのメソッドを自作のハンドラと置き換えることもできます。 record には、例外発生時に処理されていたレコードが入ります。
レコードに対する書式化を行います - フォーマッタが設定されていれば、それを使います。そうでない場合、モジュールにデフォルト指定されたフォーマッタを使います。
指定されたログ記録レコードを実際にログ記録する際のすべての処理を行います。このメソッドはサブクラスで実装されることを意図しており、そのためこのクラスのバージョンは NotImplementedError を送出します。
標準として含まれているハンドラについては、 logging.handlers を参照してください。
フォーマッタ (Formatter) は以下の属性とメソッドを持っています。 Formatter は LogRecord を (通常は) 人間か外部のシステムで解釈できる文字列に変換する役割を担っています。基底クラスの Formatter では書式化文字列を指定することができます。何も指定されなかった場合、 '%(message)s' の値が使われます。
Formatter は LogRecord 属性の知識を利用できるような書式化文字列を用いて初期化することができます。例えば、上で言及したデフォルト値では、ユーザによるメッセージと引数はあらかじめ書式化されて、 LogRecord の message 属性に入っていることを利用しています。この書式化文字列は、 Python 標準の % を使った変換文字列で構成されます。文字列整形に関する詳細は 文字列フォーマット操作 を参照してください。
LogRecord の便利なマッピングキーは、 LogRecord 属性 の節で与えられます。
Formatter クラスの新たなインスタンスを返します。インスタンスは全体としてのメッセージに対する書式化文字列と、メッセージの日付/時刻部分のための書式化文字列を伴って初期化されます。 fmt が指定されない場合、 '%(message)s' が使われます。 datefmt が指定されない場合、 ISO8601 日付書式が使われます。
レコードの属性辞書が、文字列を書式化する演算で被演算子として使われます。書式化された結果の文字列を返します。辞書を書式化する前に、二つの準備段階を経ます。レコードの message 属性が msg % args を使って処理されます。書式化された文字列が '(asctime)' を含むなら、 formatTime() が呼び出され、イベントの発生時刻を書式化します。例外情報が存在する場合、 formatException() を使って書式化され、メッセージに追加されます。ここで注意していただきたいのは、書式化された例外情報は exc_text にキャッシュされるという点です。これが有用なのは例外情報がピックル化されて回線上を送ることができるからですが、しかし二つ以上の Formatter サブクラスで例外情報の書式化をカスタマイズしている場合には注意が必要になります。この場合、フォーマッタが書式化を終えるごとにキャッシュをクリアして、次のフォーマッタがキャッシュされた値を使わずに新鮮な状態で再計算するようにしなければならないことになります。
このメソッドは、フォーマッタが書式化された時間を利用したい際に、 format() から呼び出されます。このメソッドは特定の要求を提供するためにフォーマッタで上書きすることができますが、基本的な振る舞いは以下のようになります: datefmt (文字列) が指定された場合、レコードが生成された時刻を書式化するために time.strftime() で使われます。そうでない場合、 ISO8601 書式が使われます。結果の文字列が返されます。
この関数は、ユーザが設定できる関数を使って、生成時刻をタプルに変換します。デフォルトでは、 time.localtime() が使われます。これを特定のフォーマッタインスタンスに対して変更するには、 converter 属性を time.localtime() や time.gmtime() と同じシグネチャを持つ関数に設定してください。これをすべてのフォーマッタに対して変更するには、例えばすべてのロギング時刻を GMT で表されるようにするには、 Formatter クラスの converter 属性を設定してください。
指定された例外情報 (sys.exc_info() が返すような標準例外のタプル) を文字列として書式化します。デフォルトの実装は単に traceback.print_exception() を使います。結果の文字列が返されます。
フィルタ (Filter) は、 ハンドラ や ロガー によって使われ、レベルによって提供されるのよりも洗練されたフィルタリングを実現します。基底のフィルタクラスは、ロガー階層構造内の特定地点の配下にあるイベントだけを許可します。例えば、’A.B’ で初期化されたフィルタは、ロガー ‘A.B’, ‘A.B.C’, ‘A.B.C.D’, ‘A.B.D’ 等によって記録されたイベントは許可しますが、 ‘A.BB’, ‘B.A.B’ などは許可しません。空の文字列で初期化された場合、すべてのイベントを通過させます。
Filter クラスのインスタンスを返します。 name が指定されていれば、 name はロガーの名前を表します。指定されたロガーとその子ロガーのイベントがフィルタを通過できるようになります。 name が指定されなければ、すべてのイベントを通過させます。
指定されたレコードがログされているか?されていなければゼロを、されていればゼロでない値を返します。適切と判断されれば、このメソッドによってレコードはその場で修正されることがあります。
なお、ハンドラに取り付けられたフィルタは、ハンドラからイベントが放出されるたびに参照されますが、ロガーに取り付けられたフィルタは、イベントがハンドラに (debug(), info() などを使って) 記録されるたびに参照されます。これにより、子孫のロガーで生成されたイベントは、ロガーのフィルタ設定には、そのフィルタが子孫のロガーにも適用されるのでない限り、フィルタされなくなります。
実際には、 Filter をサブクラス化する必要はありません。同じ意味の filter メソッドを持つ、すべてのインスタンスを通せます。
フィルタは本来、レコードをレベルよりも洗練された基準に基づいてフィルタするために使われますが、それが取り付けられたハンドラやロガーによって処理されるレコードをすべて監視します。これは、特定のロガーやハンドラに処理されたレコードの数を数えたり、処理されている LogRecord の属性を追加、変更、削除したりするときに便利です。もちろん、LogRecord を変更するには注意が必要ですが、これにより、ログにコンテキスト情報を注入できます (Filter を使ったコンテキスト情報の伝達 を参照してください)。
LogRecord インスタンスは、何かをログ記録するたびに Logger によって生成されます。また、 makeLogRecord() を通して (例えば、ワイヤを通して受け取られた pickle 化されたイベントから) 手動で生成することも出来ます。
ロギングされているイベントに適切なすべての情報を含みます。
一時情報が msg と args に渡され、それらは msg % args を使って組み合わされ、レコードの message 属性を生成します。
パラメタ: |
|
---|
バージョン 2.5 で変更: func が追加されました。
LogRecord には幾つかの属性があり、そのほとんどはコンストラクタのパラメタから得られます。(なお、LogRecord コンストラクタのパラメタと LogRecord 属性が常に厳密に対応するわけではありません。) これらの属性は、レコードからのデータをフォーマット文字列に統合するのに使えます。以下のテーブルに、属性名、意味、そして % 形式フォーマット文字列における対応するプレースホルダを (アルファベット順に) 列挙します。
属性名 | フォーマット | 説明 |
---|---|---|
args | このフォーマットを自分で使う必要はないでしょう。 | msg に組み合わせて message を生成するための引数のタプル。 |
asctime | %(asctime)s | LogRecord が生成された時刻を人間が読める書式で表したもの。デフォルトでは “2003-07-08 16:49:45,896” 形式 (コンマ以降の数字は時刻のミリ秒部分) です。 |
created | %(created)f | LogRecord が生成された時刻 (time.time() によって返される形式で)。 |
exc_info | このフォーマットを自分で使う必要はないでしょう。 | (sys.exc_info 風の) 例外タプルか、例外が起こっていなければ None 。 |
filename | %(filename)s | pathname のファイル名部分。 |
funcName | %(funcName)s | ロギングの呼び出しを含む関数の名前。 |
levelname | %(levelname)s | メッセージのための文字のロギングレベル ('DEBUG', 'INFO', 'WARNING', 'ERROR', 'CRITICAL')。 |
levelno | %(levelno)s | メッセージのための数値のロギングレベル (DEBUG, INFO, WARNING, ERROR, CRITICAL)。 |
lineno | %(lineno)d | ロギングの呼び出しが発せられたソース行番号 (利用できる場合のみ)。 |
module | %(module)s | モジュール (filename の名前部分)。 |
msecs | %(msecs)d | LogRecord が生成された時刻のミリ秒部分。 |
message | %(message)s | msg % args として求められた、ログメッセージ。 Formatter.format() が呼び出されたときに設定されます。 |
msg | このフォーマットを自分で使う必要はないでしょう。 | 元のロギングの呼び出しで渡されたフォーマット文字列。 args と合わせて、 message 、または任意のオブジェクトを生成します (任意のオブジェクトをメッセージに使用する 参照)。 |
name | %(name)s | ロギングに使われたロガーの名前。 |
pathname | %(pathname)s | ロギングの呼び出しが発せられたファイルの完全なパス名 (利用できる場合のみ)。 |
process | %(process)d | プロセス ID (利用可能な場合のみ)。 |
processName | %(processName)s | プロセス名 (利用可能な場合のみ)。 |
relativeCreated | %(relativeCreated)d | logging モジュール が読み込まれた時刻に対する、LogRecord が生成された時刻を、ミリ秒で表したもの。 |
thread | %(thread)d | スレッド ID (利用可能な場合のみ)。 |
threadName | %(threadName)s | スレッド名 (利用可能な場合のみ)。 |
バージョン 2.5 で変更: funcName が追加されました。
LoggerAdapter インスタンスは文脈情報をログ記録呼び出しに渡すのを簡単にするために使われます。使い方の例は 文脈情報をログ記録出力に付加する を参照してください。
バージョン 2.6 で追加.
内部で使う Logger インスタンスと辞書風 (dict-like) オブジェクトで初期化した LoggerAdapter のインスタンスを返します。
文脈情報を挿入するために、ログ記録呼び出しに渡されたメッセージおよび/またはキーワード引数に変更を加えます。ここでの実装は extra としてコンストラクタに渡されたオブジェクトを取り、 ‘extra’ キーを使って kwargs に加えます。返り値は (msg, kwargs) というタプルで、 (変更されているはずの) 渡された引数を含みます。
上のメソッドに加えて、 LoggerAdapter は Logger にあるすべてのログ記録メソッド、すなわち debug(), info(), warning(), error(), exception(), critical(), log(), isEnabledFor(), getEffectiveLevel(), setLevel(), hasHandlers() をサポートします。これらのメソッドは対応する Logger のメソッドと同じ引数を取りますので、二つの型を取り替えて使うことができます。
バージョン 2.7 で変更: isEnabledFor() メソッドが LoggerAdapter に追加されました。 このメソッドは、下にあるロガーに委譲します。
logging モジュールは、クライアントで特殊な作業を必要としない限りスレッドセーフになっています。このスレッドセーフ性はスレッドロックによって達成されています; モジュールの共有データへのアクセスを直列化するためのロックが一つ存在し、各ハンドラでも背後にある I/O へのアクセスを直列化するためにロックを生成します。
signal モジュールを使用して非同期シグナルハンドラを実装している場合、そのようなハンドラからはログ記録を使用できないかもしれません。これは、 threading モジュールにおけるロック実装が常にリエントラントではなく、そのようなシグナルハンドラから呼び出すことができないからです。
上で述べたクラスに加えて、いくつかのモジュールレベルの関数が存在します。
指定された名前のロガーを返します。名前が指定されていない場合、ロガー階層のルート (root) にあるロガーを返します。 name を指定する場合には、通常は “a”, “a.b”, “a.b.c.d” といったドット区切りの階層的な名前にします。名前の付け方はログ機能を使う開発者次第です。
与えられた名前に対して、この関数はどの呼び出しでも同じロガーインスタンスを返します。したがって、ロガーインスタンスをアプリケーションの各部でやりとりする必要はありません。
標準の Logger クラスか、最後に setLoggerClass() に渡したクラスを返します。この関数は、新たなクラス定義の中で呼び出して、カスタマイズした Logger クラスのインストールが既に他のコードで適用したカスタマイズを取り消さないことを保証するために使われることがあります。例えば以下のようにします:
class MyLogger(logging.getLoggerClass()):
# ... override behaviour here
レベル DEBUG のメッセージをルートロガーで記録します。 msg はメッセージの書式化文字列で、 args は msg に文字列書式化演算子を使って取り込むための引数です。 (これは、書式化文字列の中でキーワードを使い、引数として単一の辞書を渡すことができる、ということを意味します。)
キーワード引数 kwargs からは 2 つのキーワードが調べられます。一つ目は exc_info で、この値の評価値が false でない場合、例外情報をログメッセージに追加します。 (sys.exc_info() の返す形式の) 例外情報を表すタプルが与えられていれば、それをメッセージに使います。それ以外の場合には、 sys.exc_info() を呼び出して例外情報を取得します。
もう一つのキーワード引数は extra で、当該ログイベント用に作られる LogRecoed の __dict__ にユーザー定義属性を加えるのに使われる辞書を渡すために用いられます。これらの属性は好きなように使えます。たとえば、ログメッセージの一部にすることもできます。以下の例を見てください:
FORMAT = "%(asctime)-15s %(clientip)s %(user)-8s %(message)s"
logging.basicConfig(format=FORMAT)
d = {'clientip': '192.168.0.1', 'user': 'fbloggs'}
logging.warning("Protocol problem: %s", "connection reset", extra=d)
出力はこのようになります:
2006-02-08 22:20:02,165 192.168.0.1 fbloggs Protocol problem: connection reset
extra で渡される辞書のキーはロギングシステムで使われているものと衝突しないようにしなければなりません。 (どのキーがロギングシステムで使われているかについての詳細は Formatter のドキュメントを参照してください。)
これらの属性をログメッセージに使うことにしたなら、少し注意が必要です。上の例では、 ‘clientip’ と ‘user’ が LogRecord の属性辞書に含まれていることを期待した書式化文字列で Formatter がセットアップされています。もしこれらが欠けていると、書式化例外が発生してしまうためメッセージはログに残りません。したがってこの場合、常にこれらのキーを含む extra 辞書を渡す必要があります。
このようなことは煩わしいかもしれませんが、この機能は限定された場面で使われるように意図しているものなのです。たとえば同じコードがいくつものコンテキストで実行されるマルチスレッドのサーバで、興味のある条件が現れるのがそのコンテキストに依存している (上の例で言えば、リモートのクライアント IP アドレスや認証されたユーザ名など)、というような場合です。そういった場面では、それ用の Formatter が特定の Handler と共に使われるというのはよくあることです。
バージョン 2.5 で変更: extra が追加されました。
レベル WARNING のメッセージをルートロガーで記録します。引数は debug() と同じように解釈されます。
レベル CRITICAL のメッセージをルートロガーで記録します。引数は debug() と同じように解釈されます。
レベル ERROR のメッセージをルートロガーで記録します。引数は debug() と同じように解釈されます。例外情報がログメッセージに追加されます。このメソッドは例外ハンドラからのみ呼び出されます。
レベル level のメッセージをルートロガーで記録します。その他の引数は debug() と同じように解釈されます。
注意事項: Python の 2.7.1 や 3.2 以前のバージョンでは、上述のルートロガーに委譲するモジュールレベル関数は、スレッドが開始される 前に ハンドラがルートロガーに加えられるのでない限り、スレッド内で使 わない べきです。これらの便利な関数は、 basicConfig() を呼び出して、少なくとも 1 つのハンドラが利用できることを保証します。以前のバージョンの Python では、これは (珍しい状況下で) ハンドラがルートロガーに複数回加えられ、それにより同じイベントに複数のメッセージが現れることにつながります。
すべてのロガーに対して、ロガー自体のレベルに優先するような上書きレベル lvl を与えます。アプリケーション全体にわたって一時的にログ出力を抑制する必要が生じた場合にはこの関数が有効です。その効果は、深刻度 lvl 以下のすべてのログ呼び出しを無効にすることです。そのためこの関数を値 INFO を伴って呼び出した場合、すべての INFO と DEBUG イベントは捨てられ、ロガーの実効レベルに従って優先度 WARNING 以上のものは処理されるでしょう。
内部的な辞書の中でレベル lvl をテキスト levelName に関連付けます。これは例えば Formatter でメッセージを書式化する際のように、数字のレベルをテキスト表現に対応付ける際に用いられます。この関数は自作のレベルを定義するために使うこともできます。使われるレベルに対する唯一の制限は、レベルは正の整数でなくてはならず、メッセージの深刻度が上がるに従ってレベルの数も上がらなくてはならないということです。
ノート: 独自のレベルを定義することを考えているなら、 カスタムレベル の節をご覧ください。
ログ記録レベル lvl のテキスト表現を返します。レベルが定義済みのレベル CRITICAL, ERROR, WARNING, INFO, DEBUG のいずれかである場合、対応する文字列が返されます。 addLevelName() を使ってレベルに名前を関連付けていた場合、 lvl に関連付けられた名前が返されます。定義済みのレベルに対応する数値を指定した場合、レベルに対応した文字列表現を返します。そうでない場合、文字列 “Level %s” % lvl を返します。
属性が attrdict で定義された、新しい LogRecord インスタンスを生成して返します。この関数は、 pickle された LogRecord 属性の辞書をソケットを介して送信し、受信端で LogRecord インスタンスとして再構成する場合に便利です。
デフォルトの Formatter を持つ StreamHandler を生成してルートロガーに追加し、ロギングシステムの基本的な環境設定を行います。関数 debug(), info(), warning(), error(), critical() は、ルートロガーにハンドラが定義されていない場合に自動的に basicConfig() を呼び出します。
この関数はルートロガーに設定されたハンドラがあれば何もしません。
バージョン 2.4 で変更: 以前は basicConfig() はキーワード引数を取りませんでした。
注意事項: この関数は、他のスレッドが開始する前に、メインスレッドから呼ばれるべきです。Python の 2.7.1 や 3.2 以前のバージョンでは、この関数が複数のスレッドから呼び出されると、(珍しい状況下で) これは (珍しい状況下で) ハンドラがルートロガーに複数回加えられ、ログにメッセージが重複して現れるなど、予期せぬ結果につながります。
以下のキーワード引数がサポートされます。
Format | 説明 |
---|---|
filename | StreamHandler ではなく指定された名前で FileHandler が作られます |
filemode | filename が指定されているとき、ファイルモードを指定します (filemode が指定されない場合デフォルトは ‘a’ です) |
format | 指定された書式化文字列をハンドラで使います |
datefmt | 指定された日付/時刻の書式を使います |
level | ルートロガーのレベルを指定されたものにします |
stream | 指定されたストリームを StreamHandler の初期化に使います。この引数は ‘filename’ と同時には使えないことに注意してください。両方が指定されたときには ‘stream’ は無視されます |
ロギングシステムに対して、バッファのフラッシュを行い、すべてのハンドラを閉じることで順次シャットダウンを行うように告知します。この関数はアプリケーションの終了時に呼ばれるべきであり、また呼び出し以降はそれ以上ロギングシステムを使ってはなりません。
ロギングシステムに対して、ロガーをインスタンス化する際にクラス klass を使うように指示します。指定するクラスは引数として名前だけをとるようなメソッド __init__() を定義していなければならず、 __init__() では Logger.__init__() を呼び出さなければなりません。典型的な利用法として、この関数は自作のロガーを必要とするようなアプリケーションにおいて、他のロガーがインスタンス化される前にインスタンス化されます。
captureWarnings() 関数をつかって、 logging を warnings モジュールと統合できます。
この関数は、 logging による警告の補足を、有効にまたは無効にします。
capture が True なら、 warnings モジュールに発せられた警告は、ロギングシステムにリダイレクトされるようになります。具体的には、警告が warnings.formatwarning() でフォーマット化され、結果の文字列が ‘py.warnings’ という名のロガーに、 WARNING の重大度でロギングされるようになります。
capture が False なら、警告のロギングシステムに対するリダイレクトは止められ、警告は元の (すなわち、 captureWarnings(True) が呼び出される前に有効だった) 送信先にリダイレクトされるようになります。
参考